有名人やアスリートが「ピラティスをしている」と公言することも多く、ダイエットや体作りのためにピラティスを始める人が増えています。それに合わせ、いろいろな種類のピラティスが登場しています。そして、種類ごとに「こんな人に向いている」「こういう目的で行われている」という方向性があります。
「ピラティスに興味があるけれど、自分に合うのはどのピラティスなのだろう」
「種類によってどのように違うのだろう」
そんな疑問にお答えします。
基本となる2種類のピラティス(マットピラティス・マシンピラティス)の特徴
ピラティスの基本となるのは、マットの上で行うマットピラティスと、大型のマシンを使うマシンピラティスの2つです。
ピラティスはもともとジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティスという看護師によって、戦時中に生み出されました。捕虜を収容する病院で、傷ついた兵士たちのリハビリのために考えられた運動であるため、「ベッドの上で寝たままでもできる」「ケガをしていてもできる」のがピラティスの特徴です。
マットピラティスはまさに「寝たままできる」ピラティスが進化したもの。床の上にマットを敷いてその上で体を動かします。
マットピラティスはヨガの動きを取り入れたメニューもあり、ヨガと似ているという印象を受ける人も多いようです。そのほか、ボールや簡単な道具を使うこともあります。
マットピラティスは、体の中心にあるインナーマッスルを中心に全身を鍛えることができるプログラムです。筋肉を強化するとともに、体の活性化を目指しています。
もう1つのマシンピラティスでは、ベッドやイスのような大型の機械を使います。そのため大人数で受講することが難しく、マシンピラティスはマンツーマンのパーソナルトレーニングになることがほとんどです。
器具にはスプリングがついていて負荷を調節できます。また、マシンを使うことにより間違った動きをしないようにマシンのサポートを受けたり、狙った筋肉をピンポイントに動かしたりするトレーニングが可能です。そのため、負荷を軽くすれば高齢者や体を痛めている人のリハビリにも使えますし、負荷を重くしてアスリートのトレーニングに活用することもできます。
ニーズ別に分けられるピラティスの種類
ピラティスは20世に生まれたものですが、人気が出てピラティスに取り組む人が増えるにつれて種類も多くなってきました。
【ボディメイクピラティス】
ボディラインを整えたい女性に人気が高いピラティスです。
オーソドックスな内容ながら、シェイプアップ効果が高いエクササイズでレッスンが構成されています。ダイエットをしたい人や、たるんだ体を引き締めたい人など、理想の体を手に入れたい人におすすめです。
【マタニティピラティス】
出産前、出産後の女性に対応したピラティスです。
出産前の体力作りのほか、精神を安定せる効果もあります。出産後は骨盤調整や育児でアンバランスになってしまった筋肉や姿勢の調整に役立ちます。
「出産という大変なイベントを経た後は、体を動かさないほうがよいのでは?」と思われることも多いのですが、医師の許可を得た後なら、軽く体を動かした方が体の回復力が上がりやすいことがわかっています。
また、ピラティスはもともとリハビリ目的に生まれた運動なので、出産後の女性の身体サポートには向いているといえます。
【シニアピラティス】
高齢者でもできる筋力をマシンのスプリングで補いながら行うピラティスです。
年齢を重ねると筋肉が衰え、転んだり階段を上がりにくくなったりします。加齢により現れる症状の改善を目指し、年齢を重ねても介護・介助を必要とせず、自力で生活できるようにと生み出されたピラティスです。
【ポストリハビリとしてのピラティス】
ケガや手術の後、病院後のリハビリを終了した後のピラティスです。シニアピラティスと同様、スプリングが筋力を補ってくれるので、無理なく体を動かせます。少しずつ筋力を養い、日常生活を何不自由なく送れるよう、機能の回復をお手伝いします。
ただし、お医者様の許可が必要な場合があります。
ピラティスとヨガの違い
ヨガにも似たような種類がある、ピラティスとヨガは似ていると感じた人も多いかもしれません。しかし、ヨガとピラティスはその成り立ちから目指すところまでに大きな違いがあります。
ヨガは古代インドで生まれた修行法・治療法です。腹式呼吸をしながらポーズを取ることで、己の身体と心を見つめ、安定した心を持続させ悟りを得ることを目的としています。そのため、マットの上でポーズを取ったらそのまま止まってキープします。ヨガで大切なのは呼吸やポーズをマスターして心身を見つめることで、ダイエット目的ではありません。
一方ピラティスは、リハビリをして身体機能を回復させるために生まれた運動法です。体の中心にあるインナーマッスルを鍛えることで正しい姿勢を保てるようにしつつ、胸式呼吸で交感神経を活発化させ、自律神経が正常に働くように促します。
筋肉を鍛えるのはもちろん、自分の体をコントロールしやすくして、ケガをしにくい体を作り、体のパフォーマンスを上げることが目的です。
ただし、ピラティスはヨガの動きを参考にしている部分もあるため、「この動きがヨガに似ている」「マットの上で動くところがヨガに似ている」と感じるでしょう。
ピラティスでは、ヨガのようにポーズを取ったら止まることはなく絶えず動き続けますので、疲労度も高く汗もたくさんかきます。